guitersのブログ

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『あの家に暮らす四人の女』を読んでみました

直木賞作家の三浦しをんさんの小説『あの家に暮らす四人の女』を週末を利用して読んでみました。

内容は杉並区の建物だけは立派な洋館に住む女性四人の日常の小さなドラマが描かれた小説です。
事件と言う事件はないけれど、日々のちょっとした事柄が淡々と、でも面白おかしく描かれています。

登場人物のキャラクターがそれぞれ個性的で、でも「こういう人いるいる」と共感できてつい感情移入してしまいます。
特に、刺繍作家の佐知がリフォーム業者の男性に惹かれる過程がとても頷くところがありました。

在宅仕事であまり家から出かけることの少ない環境で、運命のようにめぐり合えた共通の趣味を持つ人間に会えた喜びと言ったらないです。
興味のあまりない人には伝わらない細かいこだわりや、一目見ただけでは理解されにくいようなところに施した工夫など、
家族や友人とは分かち合えないディープな会話が出来るかもしれないと言う興奮。
それと同時に初めて会った人間にこんな話をしてしまって引かれていないかと言う不安と葛藤。
それでも止まれない心の奥底に溜めに溜めたフラストレーションとパッション!!

すごくすごくわかります。それだけ同好の士と言うのは得がたいものなのですよ。
佐知はまだブレーキがかけられていますけれど、私が同じ状況に立っていたら多分ブレーキはかけられません。

推理小説やミステリーなどハラハラする小説は読みたくないけれど、色恋沙汰やスポ根物もちょっと気分じゃない、
そんなときにオススメの一冊です。